日課かつ癒しの「本屋たちより」で不意打ちで巡り合えた幸運に感謝!
私が中学生の時初めて買った少女小説の著者で、今もずっと大好きな氷室冴子さん(2008年に逝去)が
「女」であるがゆえに、作家業や人付き合い(対男性や世間や周囲の目上集団)で巻き起こった、理不尽や不利益や不当なトラブルの日常
を、軽快に(ここ重要!めっちゃ軽快に!)書かれたエッセイです。
「30年前?平成初期なんて、大昔じゃん」
とか思うなかれ。
「これ、去年でた〇〇女性誌の連載エッセイだよー」
と大嘘ついても、氷室冴子さんをご存じない方なら、するっと騙せるレベルの愉快さと新鮮さです。(その当時の流行歌とか出てくるから、そのあたりでバレはするだろうけれど)。
自分が執筆当時の作者と同世代になった今、この本を読むと
「昔も今も、根っこは変わらんわなー。まあ、当時より声はあげやすくなったし、前進はしていて後退はしていないだけマシかー」
ってな感じ。
とはいえ、当時は今よりもっと「(芸能界とか一部を除いた)仕事している独身女性」は、言葉にはされずとも、社会的地位は低く見られていたろうし。
母親に結婚しないことについてとやかく言われて絶縁を考え、口の悪い年上の奥様に「ご両親に躾けていただかなかったの」と痛烈に言い返し、結婚して夫の愚痴ばかりの友人に寂しさを感じたりを、小説のように時にコミカル、時にじんわりと、それでいて「いっぱしの女」として、誠実に考え対処している心意気が好き。
一般論としての「立派なコト」ではなく、氷室冴子さんという人の、芯のある態度に惹かれます。
抜粋しようとしたものの、本文を読んでこそ成立する面白さなので、勝手にキャッチコピー。
「お一人様女性の、深夜のおともに」
このキャッチコピーはともかく、本屋大賞作家の町田その子さんが素敵な書評を寄せていらっしゃるので、そちらも是非!